正直な商い

(写真:岩手県盛岡市内の街並みより。古き良き日本には正直な商売が経済の基盤を支えていたように思います)

商売をやっていて売値という問題は必ず出てきます。どのくらいならお客さんは買ってくれるだろうか? どのくらいなら満足いく収入になるだろうか? と頭を悩ませる事業主も多いのだろうと思います。

当院の場合、売り値というのは「施術料」に当たります。病院のリハビリや治療院での保険診療に慣れた人にとって、保険外のサービスはとても負担大きく感じるかもしれません。

保険外のサービスは、多くの商売と同様に売り手がその値段を決めます。治療院、整体院の値段もピンからキリまであります。

前の日記で「触ったタッチに人柄が出る」という話をしましたが、「値段は店の良心そのもの」と書いた本があります。

島田紳助さんの「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」(幻冬舎新書)という本で、そこには次のような一節があります。

今日は雨でお客さんが少ないという日に、いつもお金をたくさん遣ってくれる常連さんが来たら料理人は嬉しくなる。
「これでちょっとは売り上げが挽回できそうや」
心の中でこう思ってしまうのは、人間だから仕方がない。仕方ないが、実際にそれをやってしまってはいけない。
たとえ、お客さんが自分から「店の売り上げに協力するわ」と言って、バンバン高いものを頼んだとしても、だ。
そんな場合は、「そんなにお金遣うてもろたらあきません。お勘定が高うなるからやめて下さい」と言うのが、店の正しい姿勢だと思う。
痩せ我慢をしてでも、いつものように正直な商売をしなくてはいけない。
(島田紳助「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」P133)

私もここに書かれている内容に賛成です。お金をもらうことに精神的なブロックをする必要はありませんが、相応の値段というものを考えることは大切だと思います。「正直な商売」をしなくてはいけないと心がけています。

業界の相場というものを盾に、高額な費用を正当化する向きもありますが、それも必ずしも正しいのか疑問を私は持っています。

葬儀業界は長年、会計が不明瞭で、ほとんどの大手が同じくらいの値段でした。しかし、ある時から葬儀チェーンであるティアが費用の透明化に取り組んだところ、今までの相場の半額ほどになってしまいました。

お客様が不満を言わないからではなく、自分の良心で適正かどうか判断する必要があります。

そうかと言って、ただ安くすれば良いというものでもありません。その商売が成立しなくては、技術を還元することもできなくなるからです。

売り手とお客様の両方が笑顔になれるように、サービスと値段のバランスが大切になってきます。安過ぎても高過ぎてもいけないのです。

当院の値段は、健康保険が効かないので、一見高く感じるかもしれませんが、サービス内容を考慮して、私の中で適正だと考えた金額です。「正直な商売」と偽りなく言える設定です。

店舗の拡大などによって、少し値段を上げることはあるかもしれませんが、大幅な値上げはありません。それは割引も含めて、これが適正だと確信しているからです。

正直な商売かどうかは、お客様がすぐに見抜くと考えています。お金を払う時に心に引っ掛かりが出たら、それは値段とサービスが一致していないということです。それが続くようなら、人は離れて、店は立ち行かなくなるでしょう。

人の身体を扱うサービスでは、必ずしも毎回同じ反応が出るわけではありませんが、お客様に満足してもらえるように努めていきたいと考えています。

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